錬金術つかい(寛訳33)(“El Alquimista”)

キャラバンは昼も夜も旅をし始めた。ひっきりなしに覆面をした伝令が現れていて、ラクダ引きは、少年と友になっていたわけだが、士族間の戦争が始まったのだと説明した。オアシスに到着できるとすれば大変な運があるということだ。

動物たちは疲弊していて人間たちはますます沈黙した。沈黙は夜になるとますます恐ろしかった、ただのラクダの鳴き声が–以前はラクダの鳴き声であるに過ぎなかったのだが–今では皆を怖がらせ、またそれは侵略のしるしなのかもしれなかったのだ。

ラクダ引きは、それにもかかわらず、戦争の脅威に大した感情を抱いていないようだった。

「僕は生きている」、少年に言った、焚火も月もない夜にデーツの料理を食べながら。「食べている間、食べる以外のことはしない。歩いているなら、歩くことだけにする。戦わなくてはならないなら、それは他のどんな日とも同じように死すべき良き日になるさ。」

≫なぜなら僕は過去にも未来にも生きていないから。現在だけがあって、それだけが僕の関心なんだ。もし君がいつでも現在に留まることができるなら、幸福な男になるよ。砂漠の中に生があること、空が星たちを抱いていること、そして戦士たちが戦うのはそれが人類の一部だからだと感じとるだろう。人生はお祭り、大きなお祭りになる、なぜならそれは僕たちが生きているその瞬間だけなのだからね。

二夜後、眠る支度をしていたとき、少年は夜通したどり続けた星を見た。地平線が少し低いように思われた、というのも砂漠の上には何百もの星があるのだった。

「オアシスだ」、ラクダ引きが言った。

「じゃあどうしてすぐに行かないの?」

「眠らなくちゃいけないからだよ。」

~続く~


40分。このところ短くて楽ちんなのだけど、もうちょっとしたら怒涛の長尺つづきになるのが分かっているので、今のうちに他のことやっておこう。

ラクダ引き、良いな。非常に達観していて、語るべきことを知っている感じがする、よっぽどあのイギリス人より(以下略)

食べている間、食べる以外のことはしない。→食事中にスマホ見ない!
歩いているなら、歩くことだけにする。→歩きスマホ禁止!
戦わなくてはならないなら、それは他のどんな日とも同じように死すべき良き日になるさ。→スマホの個人データはちゃんとロックかかるようにしておきなさい。
出典:ラクダ引きが教えるスマホとの正しい向き合い方。

今日のスペイン語は少し戸惑ったここの部分を取り上げます。

El silencio era más terrible por la noche, cuando un siemple relincho de camallo –que antes no pasaba de ser un relincho de camello– ahora asustaba a todos, y podía ser una señal de invasión.

寛訳:沈黙は夜になるとますます恐ろしかった、ただのラクダの鳴き声が–以前はラクダの鳴き声であるに過ぎなかったのだが–今では皆を怖がらせ、またそれは侵略のしるしなのかもしれなかったのだ。

–の中、何言ってんのかなって最初なりました。ただ落ち着いてみると、no pasar de ser~/~であるに過ぎない、もっと落ち着き払ってみると、no pasar/過ぎない、de ser/であること、という日本人的にとってもわかりやすそうな構造。慌てず読むって大事。

ちなみに同じ引用箇所のうちcuandoは、「~のとき」っていう接続詞じゃなくて、「そのとき~」っていう関係副詞になっているのも、最初ちょっとウン?ってなりました。疲れてるんかな。

なお本文中「お祭り」としたところ、スペイン語ではfiestaです。ということで今日はニカラグアの首都マナグアのサント・ドミンゴ祭の動画にします。守護聖人ドミンゴが山から下りてきて翌日に帰っていく。この青緑っぽいのが聖人だそうです。ちょうどマナグア市の仕事をしていたので特等席にご招待いただいて見ることができました。お祭りって民族の独自性が色濃く出るものですよね、とてもおもしろかった。2016年8月。

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