錬金術つかい(寛訳3)(“El Alquimista”)

「羊の毛を売らなくちゃいけないんです」商人に言った。

男の店はいっぱいで、商人は羊飼いに日暮れまで待ってくれと頼んだ。少年は店の正面の歩道に座って革袋から本を取り出した。

「羊飼いが本を読めるとは知らなかったわ」隣で女の声が言った。

それはアンダルシア地方の典型的な若い女性で、黒くまっすぐな髪とかつてのムーア人征服者をどこか思い出させる目を持っていた。

「羊たちは本よりも多くを教えてくれるからね」少年は応えた。

二時間以上話していた。彼女はその商人の娘だと言い、毎日がその前日と同じだという村の暮らしについて話した。羊飼いはアンダルシアの野々について、そして訪れた町々で見聞きした最近の出来事について話した。ずっと羊たちと話をしていなくて良いので彼は嬉しかった。

「どうやって読み方を覚えたの?」少女はふと尋ねた。

「みんなのようにさ」男の子は応えた。「学校に行ってね。」

「それで読めるんだったら、どうして羊飼いなんてしているの?」

少年はその質問に応えないよう適当な言い訳をした。少女が決して理解しないと確信していた。彼は旅の話を語り続け、ムーアの瞳は恐怖や驚きに見開かれまた閉じられた。時が経つにつれて、少年はその日が終わることなく、少女の父親がずっと忙しくて彼を三日間でも待たせたら良いのにと願い始めた。かつて感じたことのない何かを感じていることに気が付いた。ひとつの町にずっと住み続けるという願望である。黒髪の女の子となら、毎日は決して同じじゃないはずだ。

しかし商人はついにやってきて彼に四匹の羊の毛刈りをさせた。それから約束の支払いをして来年また戻ってくるように頼んだ。

 

~続く~


 

アンダルシア地方なー。行ってみたい。ムーア人を思わせる瞳とか持ってるのか。出会いたい。

フランスに約3年いた間でスペインにはバスク地方に2日間だったか、大学の遠足で連れて行ってもらっただけなのです。今思えばかなりもったいないことした。でもこうして今はスペイン語が少し身に着いてきたので、今から行くのがもっと楽しめるはず!と前向きにとらえよう。

・・・そのためにもコロナ、早く収まってくれー。

2 Replies to “錬金術つかい(寛訳3)(“El Alquimista”)”

  1. ムーア人と訳していただいたところ、スペイン人はスペイン語でモーロ人といつも言ってました。確かにモロッコの女性とアンダルシア人(少し肌がモーロ人より白い)が顔つきが似ている人もいました。

    1. 西和辞書だとmoroは「モーロ人,ムーア人」ってあるんですよね。文中にantiguos conquistadores morosとあったので、かつての征服者っていうとムーア人かなっていう個人的な印象からムーア人にしました。調べてみると、民族としては単一で、複数の呼び名があるのかな?
      モロッコ人の友達けっこういますけど、すごく欧州と混ざっているんだなあっていう綺麗な顔立ちの人が多いイメージです。スペインはほとんど行ったことないんで知らないんですけど。かっこいい&美しい。

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