錬金術つかい(寛訳27)(“El Alquimista”)

「私がキャラバンの隊長です」、長い髭と黒い目の男性が言った。「私が共に旅する人々の生と死にかかる権限を持ちます。なぜなら砂漠とは気まぐれな女であり、時として男たちを狂わせるものだからです。」

錬金術つかい(寛訳26)(“El Alquimista”)

『おもしろいな』、少年はその本の始まりにある埋葬の場面をもう一度読もうとしながら思った。『読み始めてほとんど二年になってこれらの頁を読めないなんて。』彼を遮る王はいなかったにもかかわらず、集中することができなかった。まだ決断に疑いを抱いていた。だがひとつ大事なことに気づいていた、決断とは単に何かの始まりだった。誰かがある決断をしたときというのは、強大な流れの中に飛び込んでいるのであり、それはその人を決断したときには夢にも思わなかったような場所まで連れて行くのだった。

[pickup] Studies find global COVID-19 lockdowns have significantly reduced PM2.5 and NO2 pollution, but ozone up

https://www.greencarcongress.com/2020/05/20200512-grl.html コロナ禍での大気汚染物質の研究。中国、西ヨーロッパ、米国で微粒子PM2.5とNO2は減少、他方で地上オゾンは中国にて増加。大気汚染のひどい地域で地上オゾンを分解する働きのあるNO2が減ったためと考えられる。大気浄化が一筋縄でいかないことを示す事例。

[pickup] Lime Just Became the Biggest Micromobility Company in the World

Uberと提携関係に入ったLimeがマイクロモビリティの世界最大手に。コロナの影響で配置を控えていたが回復途上の国では公共交通の代替手段としてコロナ前より利用率増の傾向。懸念はビジネスの非公共性と脆弱性。都市の恒常的ツールになれるか。

錬金術つかい(寛訳25)(“El Alquimista”)

そのイギリス人は建設現場の中に座って、動物たち、汗そして埃のにおいを嗅いでいた。それを集積所と呼ぶことはできなかった、せいぜい囲い場だった。『僕の全人生はこういう場所を通らなくちゃいけないことになってるんだ』、気もそぞろに化学雑誌をめくりながら思った。『十年の学習が僕をこの囲い場に導くとはね。』

錬金術つかい(寛訳24)(“El Alquimista”)

少年は自分の部屋に戻って全ての持ち物をまとめた。もう立ち去ろうというとき、隅に投げつけられていた、羊飼いの古い巾着に気が付いた。その中にはまだ同じ本と上着があった。この最後のものを取り出し、道端の子どもにでもあげようと考えていたとき、二つの石が床を転がった。ウリムとトゥミムだった。

錬金術つかい(寛訳23)(“El Alquimista”)

少年は日が出る前に目覚めた。彼がアフリカ大陸を初めて踏みしめてから十一か月と九日が過ぎていた。
彼はアラブの服、白い麻でできた、その日のために特別に買ったものを着た。頭にはスカーフを着け、ラクダの皮でできた輪で留めた。新しいサンダルを履いて物音を立てずに降りた。