少年が外に出たときオアシスはただ満月のみによって照らされていた。彼のテントまでは徒歩で二十分あり、歩き始めた。
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錬金術つかい(寛訳40)(“El Alquimista”)
「砂漠のしるしを持ってきました」、オアシスの真ん中にある巨大な白いテントの入り口前にいた見張り番に言った。「長たちにお会いしたい。」
錬金術つかい(寛訳39)(“El Alquimista”)
ラクダ引きはナツメヤシの根もとに座って、同じく日没を見つめていた。少年が砂丘のひとつの後ろから出てくるのを見た。
錬金術つかい(寛訳38)(“El Alquimista”)
少年はファティマとの話に悲しくなった。知っていた多くの人々のことを思い出していた。既婚の羊飼いたちは野原をゆかねばならないことをその妻に話すのにとても苦労していた。愛された人と共にあることを愛は求めていた。
錬金術つかい(寛訳37)(“El Alquimista”)
翌日少年は井戸に戻り、少女を待った。驚いたことに、そこでイギリス人とばったり出会うと、彼は初めて砂漠を見ていた。
錬金術つかい(寛訳36)(“El Alquimista”)
新参者たちはすぐにアル・ファヨウムの部族長たちのもとへと連れられて行った。少年は見ているものを信じられなかった、ヤシの木々に囲われたひとつの井戸–歴史の本であるとき読んだように–であるどころかオアシスはスペインの多くの村々よりもずっと大きかった。三百の井戸、五万のナツメヤシの木々そして広く散在する色とりどりのたくさんのテントがあった。
錬金術つかい(寛訳35)(“El Alquimista”)
『時が急いているときには、キャラバンもまた走る』、錬金術師は思った、数百の人間たちと動物たちがオアシスに到着するのを見ながら。住民たちは着いたばかりの人々の後ろで大声を出していて、ほこりは砂漠から太陽を覆っていて子どもたちは見知らぬ人々を見た興奮で飛び上がっていた。錬金術師は部族長たちがキャラバンの隊長に近づいて彼らの間で長々と言葉を交わしている様子を見た。
錬金術つかい(寛訳34)(“El Alquimista”)
日が昇り始めたとき少年は目を開けた。彼の前には、夜の間は小さな星たちがあったが、ヤシの木々が果てしなく並んで広がり、砂漠の地平線をすっかり覆っていた。
錬金術つかい(寛訳33)(“El Alquimista”)
キャラバンは昼も夜も旅をし始めた。ひっきりなしに覆面をした伝令が現れていて、ラクダ引きは、少年と友になっていたわけだが、士族間の戦争が始まったのだと説明した。オアシスに到着できるとすれば大変な運があるということだ。
錬金術つかい(寛訳32)(“El Alquimista”)
ある良き日に少年はイギリス人に本を返した。
「それで、たくさん学んだかい?」、相棒は尋ねた、大いに期待して。戦争への恐怖を忘れるため一緒に会話をする誰かを必要としていた。