錬金術つかい(寛訳52)(“El Alquimista”)

少年は真正面から地平線を見据え始めた。遠方には山々、岩場そして生存が不可能な場所で生きようとしつこく食い下がる背の低い植物たちがかすかに見えていた。そこには彼が何カ月ものあいだ歩き回った砂漠がありそのうちの、それでも、小さな一部分しか彼は知らないのだ。この小さな一部分でイギリス人、キャラバン隊、士族間の戦争そして五万のヤシの木々と三百の井戸を抱えるオアシスに出会っていた。

錬金術つかい(寛訳46)(“El Alquimista”)

「後に残したもののことを考えちゃいけないよ」、砂漠の砂上を馬で進み始めた時に錬金術師は言った。「全ては世界の魂に刻み込まれていてそこに永遠に留まる。」

錬金術つかい(寛訳44)(“El Alquimista”)

次の夜、少年は一頭の馬を連れて錬金術師のテントに現れた。少し待つと彼が着いた、馬に乗って一羽のハヤブサを左肩に乗せて。
「砂漠のなかの生を見せてごらん」、錬金術師は言った。「生を見つける者だけが宝を見つけることができる。」

錬金術つかい(寛訳36)(“El Alquimista”)

新参者たちはすぐにアル・ファヨウムの部族長たちのもとへと連れられて行った。少年は見ているものを信じられなかった、ヤシの木々に囲われたひとつの井戸–歴史の本であるとき読んだように–であるどころかオアシスはスペインの多くの村々よりもずっと大きかった。三百の井戸、五万のナツメヤシの木々そして広く散在する色とりどりのたくさんのテントがあった。

錬金術つかい(寛訳35)(“El Alquimista”)

『時が急いているときには、キャラバンもまた走る』、錬金術師は思った、数百の人間たちと動物たちがオアシスに到着するのを見ながら。住民たちは着いたばかりの人々の後ろで大声を出していて、ほこりは砂漠から太陽を覆っていて子どもたちは見知らぬ人々を見た興奮で飛び上がっていた。錬金術師は部族長たちがキャラバンの隊長に近づいて彼らの間で長々と言葉を交わしている様子を見た。

錬金術つかい(寛訳20)(“El Alquimista”)

第二部
少年はほとんど一か月ガラス商人のために働いており、それは彼を幸せにする類の仕事というわけではなかった。商人は一日中陳列台の後ろでぶつくさ言って過ごし、商品に気を付けるように、何も壊したりしないようにと要求していた。