錬金術つかい(寛訳5)(“El Alquimista”)

朝日が差し込み始めて羊飼いは羊たちを太陽の方向に導いた。「彼らは何かを決断する必要なんてずっとないんだ」と思った。「ひょっとしたらそれでいつも僕のこんな近くにいるのかもしれない」。羊たちが感じている唯一の必要は水と食べ物だった。少年がアンダルシアの一番の牧草地を知っている限り、彼らは彼の友人であり続けるだろう。

錬金術つかい(寛訳4)(“El Alquimista”)

もう再びその村に着くまでたった四日間というところだった。気分が高揚すると同時に不安にも感じた。もう少女は彼のことを忘れたかもしれない。あのあたりには羊の毛を売りにたくさんの羊飼いが通るのだ。

錬金術つかい(寛訳2)(“El Alquimista”)

第一部
少年は名をサンチアゴと言った。日が暮れ始めたころ、彼は羊の群れとともに見捨てられた古い教会の前に着いた。天井はずっと前から壊れていて用具室のあったところには大きなシカモアイチジクが育っていた。

錬金術つかい(寛訳1)(“El Alquimista”)

序詞
錬金術師はキャラバンの誰かが持ってきていた一冊の本を取った。その巻には表紙がなかったが、その著者を特定することができた。オスカーワイルド。ページをくっていくとナルシソに関する物語が記されていた。